
上の椅子は、ハンス・ウェグナーが40年代に製作した「チャイニーズチェア」です。チャイニーズチェアは現在までに9種類のバリエーションが作られていますが、これは初期の作品です。
現行モデルとは異なり、脚の貫が入っていません。そのため強度は若干落ちますが、とてもすっきりして美しいフォルムを作っています。わたしはこの椅子を見て、チャイニーズチェアの魅力に気付きました。
ただ、このモデルは現在は生産されていません。仮に販売されていてもかなり高価なため(ここのサイトの価格ではなんと100万円!)手に入れることは非常に難しいみたいです。
その代わり、彼の製作した椅子をきれいな写真と詳しい説明つきで見ることができるのが、下の本です。
![]() | ハンス・ウェグナーの椅子100 織田 憲嗣 丸山 彰一 林 義夫 平凡社 2002-10 by G-Tools |
この本はタイトルの通りウェグナーの100脚の椅子を紹介する本です。著者は織田憲嗣というデザイン研究家。膨大な知識をもとに、それぞれの椅子に詳細かつわかりやすい説明を加えています。
この本を読んで、ウェグナーが「リ・デザイン」というコンセプトをとても大切にしていたことを実感しました。リ・デザインとは既存のデザインの良い部分を残しつつ、さらに機能的で洗練されたデザインを施すことを指します。提唱者はデンマーク家具デザインの父と呼ばれるコーア・クリント。ウェグナーは彼から大きな影響を受けたとされていますが、この本で紹介されている何脚もの同名・異デザインの椅子を眺めていると、彼のデザインの発展の仕方が良くわかって非常に面白いです。
「チャイニーズ・チェア」は、中国の明時代の椅子をリ・デザインしたものだそうです。モダニズム全盛の北欧デザイナーが数百年前の中国のデザインに注目していた、そしてそこからこんなに美しいデザインを生み出した・・・新しいものを生み出すヒントは思わぬところに転がっていることを端的に示す事例です。わたしはデザイナーではないけれど、何かを創作したり考えるときには、リ・デザインのような発想は大切にしたいなと思いました。

